この講演はセリーン・フーカとノーラ・ベーケーシュ著、フランク・E・ブロックランド監修の本『書体復刻』プロジェクトを基にしている。大学の授業課題として始まり独立したデザイン調査に発展した二つのプロジェクトが一冊の本となった。一つはルネッサンス期の活字彫刻師であるギャラモンとグランジョン、もう一つはバロック期の活字彫刻師のニコラス・キシュ。この本ではアーカイブから原本となる資料を探す過程、歴史調査、デザインプロセス、そして完成品の書体を紹介する。前半は実物資料や理論的背景をもとに、歴史を通して変化した書体デザインについて考察し、後半は書体復刻のプロセスを余すところなく解説する。ここでは二つの異なるアプローチを並列して紹介し、書体デザインの手法が対話する様子が伺える。デザインの思考プロセス、技術的なディテール、障壁などを全て紹介していく。また貴重な資料や技術的図解を織り交ぜ、視覚的に構成されている。本書は書体の復刻を試してみたい読者のレシピ本として楽しめる。『書体復刻』はダッチ・タイプ・ライブラリーから2019年春に出版予定。
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